第一章 映 画 [ロンドン] ある日の午後仲間たちと映画を観に行った。まださほど混んでいなかったので見やすい席を選んで座った。少なくともそのはずだった。 映画が始まってものの5分も経っただろうか。何やら遊び人風の白いスーツを着た男が両脇の女性の肩に手を回して、にこやかに話しながら3人横並びで入ってきた。3人とも長身だ。そして、その3人組みはたまたま空いていた我々の前の席に座った。 私の前の黒人女性、スラリと伸びた体躯、当然座高も高い、なのに頭がソバージュ!それも小さな森が目の前に立ちふさがるほどの見事な三角形だ。まったく私にはスクリーンが見えない。 右に左に体をズラして画面を確保しようとするがほとんど無駄。つい先ほどまでそこは空席だったから私には最高の席だったのに。我が友人たちはデンマーク、スエーデン、ドイツ、スイス、スペイン、フィンランド、 そしてイギリス人・・・私よりずっと長身だからあまり前席の彼らの座高も気にもならない様子。それでも、仲間が私を気づかって席を見つけてくれた。 結局、仲間の1人と前列から2番目の席へ移動し、寄り目になりながらスクリーンと格闘する羽目になってしまった。映画が終わって仲間たちは皆慰めてくれはしたがあまりのマンガチックな光景に笑いをこらえきれず、 通りに出てからもギクギク笑い続けた。私には映画のストーリーよりも、そのソバージュ頭の残像の方が鮮明に残ってしまった。映画の題名はリチャード ギア主演の「Mr.Jones」だったカナ。 |
[Damage] 映画といえば、ウッソー!と誰もが信じてくれなかった話を一つしましょう。ロンドンから列車でエジンバラに向かう途中、二人の女性と知り合いになった。 続きはエピソード 2で! |
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