第1章 モスクワ [レニングラード(現在セントピータースブルグ)] 1976年の夏、北ヨーロッパ、ソ連邦を2ヶ月かけて旅行をした。特に旅程の丸々半分をソ連邦内の旅行に費やした。米ソ冷戦真っ只中の時代でもあり、 旅の仲間はすべてアメリカ人学生だったから両国民の攻防戦?も垣間見ることが出来た。 その年の夏はカナダのモントリオールでオリンピックが開催されていた。しかし、モスクワメディアのオリンピック競技に対する扱い方はどこか異様であった。その日も気になる競技があり、私たちは観光の時間を割いてホテルの部屋でテレビを見ながら応援することにして競技の時間を待った。 それまで映っていたオリンピック中継の映像がいきなり消えた。ザーザーと耳に突き刺さる音が流れだし、 あたかも宇宙からの交信とはこんなものか・・・と想わせるピリピリと乱れた映像がそこにあった。 故障だと思い、あちこちチャンネルを変えてみるが他の番組は異常なかった。なんてことはない、宿敵アメリカの試合は一切放映せずに、ただその間ホテルのテレビの受像機はスノウ状態にして放置していたのだ。 つまり、社会主義の敵である腐りきった「飽食退廃の権化=アメリカ 」 の参加している競技は放映することすらはばかられるということなのだろう。それに気づいた彼らアメリカの若者達は壁を蹴ったり、テレビを拳で叩いたりしてやりどころの ない怒りをぶつけていたが、しばらくたつと諦めと焦燥であとはその馬鹿馬鹿しさにみんなでただ笑うしかなかった。 この後もアッと驚くような様々な出来事に遭遇していった。(続く!・・・・・) |
Back to Home Page |