グルジア

第1章 ティビリシ
[ティビリシ空港]朝7時前にホテルを出発した我々のバスは カフカス山脈を貫くグルジア軍用道路をひたすらトビリシ空港に向けて突き進んだ。さすが帝政ロシア時代にコーカサスを支配するためにロシアの威信をかけて 建設された道路だけあり、深い谷、聳え立つ峰をものともせずにその地形を一気に南下していった。

そのあと空港に7時間足止めをくらった。昼食の代わりに先に出発して行ったフランス人の観光客グループがテーブルの上に食べずに残していったゆで卵を 仲間の一人が幾つか抱えて持ってきた。朝から殆ど何も口にしていなかった我々は少しばかり躊躇したあと背に腹は変えられぬとばかりその卵を頂戴することにした。 みんなで分けて食べたその卵が唯一その日の食事だった。4時を回った頃にやっと搭乗が許された。・・・
1976年の夏、留学先のアメリカ人学生たちと二ヶ月にわたり東西冷戦真っ只中のソ連を旅した時の話。
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