(・英訳)

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広重の絵に勝りしか雨しきり 湧き水に足を取られてアメンボウ

曲がり枝つと留まりおり紅一輪 水滴を足に捕らえて鬼やんま

雲晴れて谷を賑わす草紅葉 春雷の走りて遠き空二つ 

深雪に火宅を忘る芽吹きあり 春の日に蔦からませて虫動く

谷渡る鳥のいろいろ山深々 角白く光りて谷に風疾る

夕闇にほの白き猫の居る気配 泥土を葉下に集めて水仙花 

湯けむりの水面にゆらぐ秋満艦 銀翼の止まりて見ゆる真澄空

連凧に思いをつなぐ力こぶ 一周忌母の匂いの水蜜桃

冬枯れの野を突き通す道白く 真昼野に弾けるがごと青葉立つ

大しめ縄張りて千歳の大社 人混みに消えて神社の梅木立

大君の声はつらつと初参賀 黒繻子のうなじ揃いて勝ち参り

もみじ葉を拾いて知るや冬支度 青空を両翔に乗せてウスバカゲロウ

青い風振り向いて知るいぬふぐり うたた寝の頬にひんやり青畳

てっせんの何気に青の二つ三つ それだけの風にタンポポ旅立てり

柿一葉虫ひそやかに冬支度 大雲の形変わりて雁渡る

瓜かずら一足早いクリスマス 老いの手に有り余るほど花の種

小気味よい夕べに託す夢あまた 秋祭り夜なべの服も間に合わず

花暦覚えし花も数しれず ひと刷けの筆止めてなお墨走る

一日もの言わず鳥の唄聴く 空虚、空虚、空虚

せわしなく波たて泳ぐ幼鳥の背にひとひらの青葉ゆらゆら

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